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日常か非日常か

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懇談会の人選に中立性はあったか?

懇談会の人選に中立性はあったか?
内閣広報官:それでは、幹事社の方からもう1問どうぞ。
記者:共同通信の内海です。総理は、自らが設置した安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の報告書を受け、憲法解釈の変更が適切なのか、与党に協議を要請しましたが、安保法制懇には人選に偏りがあり、中立性を欠くという指摘もあります。この点をどうお考えですか。また、公明党は、集団的自衛権に関し、連立政権合意に書いていないテーマとし、2012年12月の衆院選、昨年7月の参院選でも大きな争点にはなっていません。安全保障政策の重大な変更を検討するに当たり、衆議院を解散して国民の信を問う考えはありませんか。
安倍:安保法制懇については、こうした課題について、まさに正面からずっと考えてきた皆さんにお集まりをいただきました。こうした問題です。こうした問題に正面から取り組んできていただいた皆さん、どうすれば日本人の命を守ることができるかということをまじめに考えてきていただいた皆さんに集まっていただきました。
報告書でも安全保障環境の変化に留意をして、いかなる事態においても国民の命と暮らしを守るために何をなすべきか、まさに専門的かつ現実的なご議論をいただいたと思います。その中で、私たちはご議論をいただいた報告書のすべてを、私たちは検討対象とはしないという判断を下したわけであります。
選挙との関係におきましては、前回の衆議院選挙、また、参議院選挙でも私の街頭での演説を聞いていた方々はご承知のことだとは思いますが、私は、国民の生命、財産、領土領海は断固として守り抜いていくと申し上げてきました。まさに、いかなる事態にあっても、このような事態にあっても、私はその責任を果たしていかなければならないと考えていると申し上げてきたわけであります。この検討は、こうした国民との約束を実行に移していくものであると、私は確信しております。
憲法解釈の法案に関する今後のスケジュールについて
内閣広報官:それでは、これから、幹事社以外の方からの質問をいただきます。では、川上さん。
記者:読売新聞の川上と申します。集団的自衛権の憲法解釈の見直しに向けた取組は、既にアメリカからも支持をとりつけているところですけれども、総理は外遊の場などを通じて、アジアや欧州各国の首脳から具体的にどのような感触を得られておりますでしょうか。あわせて、見直しに当たっては、国民や公明党、自民党の理解が不可欠になりますけれども、今後どのようなスケジュール感で論議を深めていくというお考えでしょうか。お聞かせください。
安倍:昨年、私はASEAN10カ国を訪問いたしました。その際、この集団的自衛権の解釈変更等々につきましても、こうした実例を示しまして説明をいたしました。すべての国々から理解と支持が得られたと思います。そしてまた先般、欧州を訪れ、やはり詳細な説明をいたしました。各国からご支持をいただきました。また、NATO演説においては、この集団的自衛権の解釈変更を含めて、集団安全保障における我々の責任等についてもご説明をいたしましたが、各国から高い支持をいただいたと思います。
ある国の代表の方は、手を挙げて、憲法9条に言及されました。この憲法9条の解釈についても、日本人の命を守るために、あるいは地域や世界の平和を確固たるものにするために、その解釈の変更を検討しているということはすばらしいと。日本が大きな変化を遂げたという支持をいただいたところであります。これからも、こうした日本の安全保障政策については、しっかりと諸外国に訪問しながら、何といっても国際協調が大切でありますから、これからも積極的に貢献をしていきたいと思います。
また、今後のスケジュールについてでありますが、期限ありきではありません。今後、内閣法制局の意見も踏まえつつ、政府としての検討を進めるとともに、与党協議に入りたいと考えています。与党協議の結果に基づきまして、憲法解釈の変更が必要と判断されれば、この点を含めて改正すべき法制の基本的方向を、 国民の命と暮らしを守るため、閣議決定してまいります。
今後、国会においても議論を進め、国民の皆様の理解を得るための努力を、継続をしていきます。十分な検討を行い、準備ができ次第、必要な法案を国会にお諮りしたいと思います。その際、抽象論や観念論ではなくて、個別具体的な事例に即して議論をし、国民の皆様の理解を得ていきたいと思います。
安全保障に向けた万全の体制づくりを目指す
内閣広報官:次の問いをお受けします。関口さん。
記者:ダウジョーンズの関口と申します。よろしくお願いします。このところ、南シナ海のほうで中国とベトナムやフィリピンなどの対立が急激に緊迫化しております。総理も先ほど、人ごとではないとおっしゃった南シナ海の状況に、集団的自衛権容認によって、この地域での日本の役割や貢献がどう変化するとお考えでしょうか。
安倍:我が国の平和国家としての歩みは、今後も決して変わることはありません。我が国は一貫して紛争の平和的解決を重視してまいりました。法の支配、航海の自由、上空飛行の自由が尊重されなければなりません。力による現状変更は一切認めない。私たちが検討をするのは、まさにこのような状況でありました。このような状況が発生したとき、日本人の命に危険が迫っているにもかかわらず何もできなくていいのかということであります。 
また、こうした解釈変更の検討によって軍事費が増大するのではないか、軍備が拡大するのではないかという、そういう指摘もありますが、それは的外れであります。中期防で5年間の総枠を既に閣議決定しておりまして、これが変更されることはありません。安全保障の分野では様々な事態が起こり得るわけでありますが、今、申し上げましたように、私たちが検討しているのはこうした事態であるということであります。
内閣広報官:はい、それでは次。七尾さん、どうぞ。
記者:ニコニコ動画の七尾と申します。よろしくお願いします。集団的自衛権の行使容認を含めた憲法解釈変更や関連法整備に向けまして、冒頭でご説明された代表的な例を含め、政府は詳細な事例集をまとめていらっしゃると思うのですけれども、それでも想定外のことが起きた場合への対応についてはどうお考えでしょうか。
安倍:安全保障を考える上において、あらかじめ事態を、将来起こり得る事態を想定することは容易なことではないと思います。これまで、ともすれば想定したこと以外の事態は起こらないという議論が行われてきました。事実、今、私が挙げた例、こうした例から目を背けてずっと今日に至ったのです。つまり、そんなことは起こらないということで目を背けてきたと言ってもいいと思います。内閣総理大臣である私は、いかなる事態にあっても国民の命を守る責任があります。想定外は許されないわけであります。国民の命と暮らしを守るため、現実に起こり得るあらゆる事態に対して切れ目ない対応を可能とするため、万全の備えをなしていくことが大切だろうと思います。
内閣広報官:それでは、もう1問だけお受けさせていただきます。では、吉野さん。
記者:テレビ朝日の吉野と申します。法制懇の報告書についてお伺いしたいのですけれども、今、総理はすべてを検討対象とはしないと、事例に即してということをおっしゃったのですけれども、法制懇の報告書にも幾つかの事例が入っておりますけれども、どれを検討対象としてどれを検討対象としないのか、その理由もあわせて教えていただければと思います。
安倍:今回は、2つの異なる考え方を報告書によって示していただきました。1つは、個別的か集団的かを問わず、自衛のための武力の行使は禁じられていない、また国連の集団安全保障措置への参加といった国際法上合法な活動には憲法上の制約はないという考え方であります。しかし、これは、これまでの政府の憲法解釈とは論理的に整合しないと考えます。私は、憲法がこうした活動のすべてを許しているとは考えません。したがって、この考え方、いわゆる芦田修正論でありまして、我々が自衛権を行使できるのは芦田修正によるという考え方でありますが、その考え方は政府としては採用しないということであります。もう1つの考え方は、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方でありまして、政府としてはこの考え方について、今後さらに研究を進めていきたいと思います。
内閣広報官:それでは、予定した時間を過ぎましたので、これをもちまして記者会見を終了させていただきます。皆様、どうもご協力ありがとうございました。
(編集・江口晋太朗)
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